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コーポラティブハウスのとあるたとえ話

コーポラティブハウスの、とあるたとえ話

ある時、5人の友達が集まり、一緒にレストランを開くことに決めました。それぞれが異なる経験や好みを持ち、「個性豊かな」タイプの人たちでした。彼らは、自分たちのオリジナルなアイデアと特徴を生かして、とてもユニークなレストランを作りたいと思っていました。

彼らは、それぞれの得意分野に焦点を当て、オリジナルなメニューやインテリアデザインを考えました。しかし、これらのアイデアが組み合わさった結果、レストランの運営費が高くなってしまいました。さらに、彼らの独創的なメニューやデザインは他人には分かりにくく、一般のお客さんにとっては敷居が高い雰囲気が漂っていました。

レストランが経営困難に陥った時、彼らは売却を検討しましたが、特殊なデザインやメニューのために、なかなか買い手が見つからず、高い価格で売却することができませんでした。

この例え話におけるレストランが、コーポラティブハウスの問題点を象徴しています。高いコストで建設され、売却価格が低いこと、そして、個々のこだわりが集まっても、結果として一般の人には理解しづらい特殊な趣味になることが共通しています。このようなリスクを十分に理解した上で、コーポラティブハウスに取り組むことが重要です。

売却価格が低い

皆さんにはもうお分かりかと思いますが、極端にカスタマイズされた住宅は建設費が高く、売却価格が低いという問題があります。

コーポラティブハウスは、集合住宅全体がカスタマイズされたものです。それに、このような住宅を建てる人たちは一般的に「意識が高い」タイプの人が多いです。

彼らはそれぞれ独自のこだわりを持っているため、同じ意識が高い人たちであっても、他人がカスタマイズした家は受け入れがたいものがあります。ましてや、一般の人には理解できない特殊な趣味があるでしょう。だからこそ、売却しようと思ってもなかなか高い価格がつかないのです。

また、大量の同じ部品を使用し、現場の設計や作業がマニュアル化されたマンションはコストが抑えられる一方で、コーポラティブハウスはカスタマイズが多いため、小さなマンションに比べコストが高くなります。

ただし、高額になることを妥協して設計すれば、「意識が高い」人たちのニーズに対応できません。建設段階でその点を巡って、仲の良いグループ内で亀裂が生じることもあります。

もちろん、売却価格を考慮し、「売却しやすいコーポラティブハウス」を建てることは理論的には可能です。私や他の研究者たちが集まって実現すれば、それは実現可能です。

しかしながら、残念ながらコーポラティブハウスに魅力を感じる「意識が高い」人たちの中には、売却価格よりも自己実現やお洒落を重視する人が多いです。結果として、過剰にカスタマイズされた中規模のマンションが、駅から離れた場所に建てられてしまいます。

もちろん、組合の人たちとの関係が悪化することや、地震などの災害で家が壊れたり、将来的に売れないリスクがあることを承知で、それでも自分が納得できるカスタマイズされた家にどうしても住みたいという人には、無理に止めるつもりはありません。

ただ、そこまで強いこだわりがない人に対しては、軽い気持ちでコーポラティブハウスに手を出すことはお勧めしません。コーポラティブハウスには様々な問題があり、コストが高く、売却価格が低くなる傾向があるため、十分な検討と慎重な判断が必要です。特に、「意識が高い」人たちが集まる場合、その価値観の違いが予想外のトラブルを引き起こすこともあるため、注意が必要です。